お遍路マップ(ohenro-map)の創刊にあたって

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ロードバイクでお遍路スタート

2019年秋、私はロードバイクを使ったお遍路の旅をスタートさせた。広島市から1番札所の霊山寺がある徳島県には、長距離バスを使って移動することにした。

徳島市内に到着して翌日からのお遍路スタート。ネットで購入した白装束を着て、納経帳やグッズを鞄に収納してホテルを出発した。1番札所の霊山寺から11番札所の藤井寺までは、さほど苦しい思いはせずに順調に廻れた。牛舎の近くを通れば牛糞の香りがして牧歌的な雰囲気を味わえた。田んぼの中を自転車で駆け抜ける爽快感。札所を廻るごとに300円の納経代を支払い、納経帳に御朱印が増えていく。お遍路は、自転車との相性がバッチリのコンテンツだと理解できた。

困難① 地図を見るのが面倒くさい

もっとも、お遍路を自転車で回っているといくつかの困難に直面した。私は、スマートフォンの地図アプリ(Google map)を使って1番札所から順に廻ったのだが、次に目指す寺(札所)に、地図なしでたどり着くのは難しい。道路標識はあっても、札所を指し示している標識は少なく、地図を見なければ途端に道に迷ってしまう。

ここで活躍するのはスマートホンであり、スマホ地図の中では最も使いやすいGoogle mapである。私は何度もGoogle mapを開いて目指す札所を確認した。確認しながら不便に感じたのは、①1度検索をして地図上に表示した札所が、アプリを消すと検索情報も消えて、再度検索しなければならないこと、②自分が正しい順路・方向に向かっているのかがわかりにくい(新たなルートが示されるが、当初検索したルートは消えている)ということだった。

スマホの弱点はバッテリーの消耗である。徒歩や自転車でお遍路を廻る人は、カーナビの代わりにスマホアプリを使うが、アプリを常時起動させておくと急速にバッテリーを消耗させる。そこで利用者は時々スマホを起動して地図アプリを確認するという行動に出る。

もっとも、地図アプリは一定時間たつと検索履歴が消えてしまうので、目的地を再度検索しなければならない。

ちなみに、四国お遍路の札所を検索する場合は、「四国霊場第〇番札所」と入力する必要がある。単に「〇番札所」と入力しただけでは、お遍路ではない寺院が示されてしまうケースが多々ある。

また、改めて検索をし直すと、一体自分が正しい道順を進んでいたのか(当初想定したルートから大きく回り道しているのか)が解らない。私の場合、気付かずに逆方向に向かっていた結果、前に検索した時よりも目的地までの距離が長くなっていたというケースもあった。

困難② バスという交通手段

1番札所の霊山寺から順調に廻り、11番札所の藤井寺を廻り終えたのは2日目の午前10時過ぎ。11番札所の藤井寺から12番札所の焼山寺に行くには、険しい山道を自転車を押しながら歩いて上るルートがあるが、約6時間かかる上に、自転車に乗って上ることは難しそうであった。しかし、自転車を11番札所の藤井寺に置いたまま焼山寺に向かうと、13番札所に向かうのが遠回りになってしまう。

ここで、ネットサーフィンして焼山寺まで別のルートが無いのか探してみると、意外にも徳島駅まで鉄道を使い、徳島駅からはバスで山の麓まで向かって、そこから自転車を押す(約4時間)、というルートが見つかった。

しかし、バス停の場所やバスの時刻表が解らない。ネット上には、四国に地縁がない人間が、四国のローカルバスのバス停や時刻表をスマホの画面に表示してくれるページがない。

結局、徳島駅で1時間以上の待ち時間を過ごして、ようやく焼山寺の麓に向かうローカルバスに乗りこめた。

困難③ 宿泊費や食費が高い

1番札所から11番札所までは、徳島市内のビジネスホテルを滞在場所とした。ホテルは1泊4,500円程度。2~3泊であれば負担感は感じないが、お遍路は四国1周1,100kmを辿る必要があり、徒歩であれば45泊~55泊を泊り続けなければならない。食費も日数分必要になる。

お遍路を廻る外国人の困難

2019年にお遍路を廻る中で、多くの外国人に出会った。彼らは殆どが徒歩だけで廻っていた。ある台湾人の紳士は、「自分は空軍を退役して時間に余裕ができたから廻れる。現役では長い休みを取れないのでお遍路を廻るのは無理だろう」と話していた。そりゃ、全行程を徒歩で廻るとなると、最短でも45日間は必要である。彼の言うことは正しい。

お遍路を廻る外国人のほとんどが、徒歩で廻っている。徒歩が好きだからではない。徒歩以外の方法を知らないから、公共交通機関を使う方法を知らないからである。

お遍路をハックするには・・・

自分自身が気付いたお遍路の困難と外国人にとってのお遍路の困難を掛け合わせたとき、ふとした閃きがあった。「そうか、日本語が理解できない外国人でもお遍路の地図が簡単に見られて、列車やバスに関する情報が簡単に得られれば、きっとお遍路の必要日数が短縮される。お遍路に必要な日数と費用が大幅に減額される。この事実を外国人が知れば、お遍路に参加する外国人が一気に増えるはずだ。これに気付いたのは、お遍路の開祖である弘法大師のお導きだ」。

ohenro-mapでは、外国人でも電車やバスを使ってお遍路を廻ることができるページを作成します。

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